宮古島放浪記

ページID1009288  更新日 令和6年1月24日

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12月に宮古島で行われた「ミヤコカナヘビ飼育管理検討会議」に園長と一緒に出席してきました。

どんな会議かといいますと読んで字のごとく「ミヤコカナヘビ」というカナヘビの仲間の飼育管理について話し合う会議です。たかだかカナヘビにと感じる方も多くいるでしょうが、ミヤコカナヘビは絶滅の危機に瀕しており環境省のレッドリストでは最高レベルの絶滅危惧1A類に掲載されています。そんなミヤコカナヘビをどう守っていくかを動物園水族館関係者、環境省職員、研究者などが一同に会して話し合う場で、毎年行われています。今年は現地宮古島での開催となりました。

私自身、宮古島にいくことが初めてで野生のカナヘビを見るのももちろんですがどんな場所なのかワクワクの出張となりました。2泊3日の行程で、中日1日が会議、その前後が移動日であったので、会議の日以外は現地の自然を見て回りました。

宮古島でまず、というかずっと目にしたのがサトウキビ!とにかく360度サトウキビ畑。ざわわの世界が広がっています。

宮古島本島(宮古島市はいくつかの島からなります)の北側にある海中公園。ここはコンクリートの部屋を海中に作って、小窓から自然の海を観察できる施設になっています。カクレクマノミや色鮮やかなスズメダイなど熱帯ならではの魚を間近でみることができ、南国に来たなという実感が沸きました。途中カツオの群れが目の前を泳いでいく様子は感動的でした。もう一つ感動したことが、この施設にいる職員の方のおしゃべりです。魚の生態はもちろん海のこと宮古島のこととにかく人を惹きつけるおしゃべりでした。私たち飼育員は基本的には同じ動物について話しますが、海にはいつ何がいるのかはわかりません。引き出しの多さや来た人に合わせて話をする技術はすごいなと思うと同時に、解説を聞く楽しさと大切さを改めて感じました。


次に訪れたのが島尻マングローブ林という場所です。マングローブ林の中を遊歩道で歩いていくのですが、ここでもたくさんの生物に出会うことが出来ました。これまでマングローブ林を見たことがなかったので、ここが同じ日本かと驚くとともに幻想的な風景はとても印象に残りました。また、歩ていると「パキッ」や「パチン」といった音が森の中かから聞こえました。その正体がわからず、植物なのか、動物なのか、はたまた自然織りなすなにかなのか謎が深まりましたが、後で詳しい人に聞いたところテッポウエビのハサミの音だろうということでした。日立の海でもテッポウエビを捕まえたことがりますが、あそこまで大きな音は出せないのでどんな大きなエビなのか姿は見えずともロマンだけが膨らみます。

お次は熱帯植物園です。ここでは原生林とそこに暮らす生物、そして日本在来馬の一つである宮古馬を見ることが出来ます。

海でも色々な生物がみられました。海辺に生息しているミヤコトカゲは潮の満ち引きに合わせてフナムシや魚を食べる珍しい生態を持ったトカゲです。

夜の森で観察も行いました。爬虫類から両生類、昆虫、陸生貝類まで様々な生物を見ることができました。

ここで驚いたのが外来種のカタツムリの仲間であるアフリカマイマイです。とにかくたくさんいる!そしてデカい!10センチをゆうに超えるものがゴロゴロといました。在来の陸生貝類との競合や植物への被害が深刻であると言われていますが、あそこまで増えてしまったものを根絶するのは相当難しいなと感じました。

宮古島ではアフリカマイマイをはじめとして、外来生物が大きな問題となっています。ミヤコカナヘビもその被害を受けており、イタチやクジャクなど本来島にはいなかった生物によって様々な在来希少種が捕食されていることが確認されています。出張中に一度はクジャクに出会いたいと思っていましたがとうとう見かけることはできませんでした。聞いたところ島の人たちの努力によって数が減っているとのこと。見かけなかったことは喜ばしいことだったと言えます。

以上が放浪記となります…。…ん?おかしいですよね。ミヤコカナヘビの写真が出てこないのはやっぱりおかしいですよね。実はミヤコカナヘビの現地観察も行い写真も撮りましたが載せられないのです。ミヤコカナヘビの減少理由の一つに違法採集があります。つまり密猟です。捕まえて自分で飼うことももちろんですが、売買や他種との交換を目的とした違法な採集が行われているのです。絶滅の危機が高まるほど希少価値がでてしまいます。ここで写真を公開することによって良からぬ人たちに情報を与えてしまう危険性があるということから写真を出せないのです。悲しいですがこれが現実です。

ミヤコカナヘビを絶滅の危機から救うべく各関係機関が協力していますがまだまだ課題が山積しています。宮古島から遠く離れたかみね動物園ですが、ミヤコカナヘビの飼育繁殖だけでなく、展示や普及啓発活動を通じて多くの方にミヤコカナヘビの置かれた現状をお伝えできればと思います。多くの人たちの努力が実りミヤコカナヘビが絶滅危惧種ではなくなった暁には堂々と写真を載せたいです。動物園で何気なく展示してあるミヤコカナヘビですが、その背景にもぜひ注目してもらえればと思います。

泡盛を飲む園長の横でひたすらオリオンビールを飲んでいた 中本

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