ニホンザル飼育日記 "もふばぁ"のこと

ページID1008392  更新日 令和6年1月24日

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皆さんこんにちは!
暦も変わりましたがまだまだ暑さの残る、かみね動物園から有川です!

今まではニホンザル舎にソテツを植えた話や、獣舎の改装の話などをしてきましたが今回はある個体についてのお話です。

ところで皆さんはニホンザルの獣舎をよく観察したことはありますか?
よーくのぞき込むと…

おや?

おやおや?

こんなところに1頭ニホンザルが

今日はこの個体についてのお話です。
彼女の名前は"もふばぁ"
姿勢や顔つき、毛並みなどから推定でも25年以上を生きてきたと思われる高齢のニホンザルです。

ちなみにニホンザルの寿命は野生下だと25年程度ではありますが、動物園などの飼育下だと安定した餌が供給されること、幼少期に命を落とす可能性が低く寿命が40歳を超えてくる個体もいます。

そんな中で「なんで"もふばぁ"だけ別で暮らしているの?」
と思われた方も多いはず。

実は彼女も元々は群れの中で過ごしていたのですが離れざるを得ない理由がありました。

1.白内障
"もふばぁ"の右目に注目してください。(向かって左です)

少し白くなっているのが分かりますか?
実は数年前に白内障を患っており、片目が見えない状態になってしまっています。
このまま外に出してしまうと、かみね動物園のニホンザル舎には高さ約7mのタワーがそびえており

登る事が出来たとしても、降りられなかったり最悪の場合は転落してしまうリスクがあります。

2.腰の病気
彼女は背骨も少し曲がっており、なかなか満足に歩くことが出来ないこともあります。
そんな中群れでの闘争などが起きた時に彼女が逃げられないリスクもあります。

3.一時期群れから離れていたこと
彼女は治療のために一時期、獣医室に入院していることもありました。
しかし相手はニホンザル。一度いなくなった個体を簡単に受け入れることは無く、むしろ敵対意識を抱くことも多く、群れの団結力は私たちの想像を超えてきます。
そして良くあるのがニホンザル同士での"仲間外れ"。
外部から来た個体を簡単には許さずに闘争の際の傷が原因で敗血症で死亡することがあります。
実は日本の動物園でもニホンザルは外部の個体が群れに合流して成功した記録がほとんどなく、群れに外部の個体を合流させることが難しい種なのです。

そんな理由もあり「いきなり群れに合流させることは危険なのではないか?」と思いましたが、それと同時に「群れで生きている動物なのだから少しは他個体と接触したり陽の光を浴びることも大切なんじゃないか」と思い隔離用のケージを作り、少しだけ外に出られるようになりました。

一方の"もふばぁ"は

のんびりご飯を食べたり

外を眺めたり

もらったエサを他個体に見せに行ったりと彼女なりに他個体との接触を楽しんでいるのではないか?と見えることもあります。
(こちらは梨をフェンスの向こうの個体に見せに行っている写真です)

これからも元気に過ごしていくであろう"もふばぁ"

「彼女の存在を皆さんに認識していただくこと」と「年老いて展示できなくなったらそれで終わり」ではなく「動物の老後のケアも動物園での日常の一つ」と感じていただければと思います。

本日はここまで。
またニホンザルたちに進展がありましたらブログやSNSで報告させていただきます。

"もふばぁ"にイモをあげるとすぐに放置される ありかわ

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