「未来社会の実験場」関西・大阪万博視察レポート
#次世代未来都市 #共創プロジェクト #日立市 #大阪万博

共創プロジェクトの日立製作所/全体調整担当です。
「未来社会の実験場」である「大阪・関西万博」へ、日立市と日立製作所メンバーで視察をしてまいりました。今回は、視察内容とその中で得られた学びを皆さまに共有いたします。
「グリーン産業都市の構築」

- 飯田グループ×大阪公立大学共同出展館
- 日本館
- ガスパビリオン(おばけワンダーランド)
などを視察いたしました。
「飯田グループ×大阪公立大学共同出展館」で展示されていた、「人工光合成技術」は、水と二酸化炭素から太陽光で蟻酸を作り出し、その蟻酸を分解して得られた水素をエネルギーとして活用するというものです。本プロジェクトでも再生可能エネルギーの創出・利用を検討しておりますが、太陽光発電は時間帯や天候によって発電量が不安定であることが課題とされております。太陽光エネルギーを化学エネルギーとして貯蔵する「次世代の再生可能エネルギー技術」として、本展示の技術は非常に参考になりました。
また、住むことで予防ケアができるスマートハウスの技術も展示されており、トイレや寝室など細かな生活シーンごとにスマートな暮らし方が展示されていたことが印象的でした。例えば寝室なら、生活者の体調のデータをもとに、照明や音楽などを自動で設定してくれるという具体的な暮らし方が展示されていたことで、将来的に自身の生活がどのように快適になるかを明確にイメージすることができました。本プロジェクトにおいても、最新技術の活用をする際には、技術の導入が目的とならないよう、あらゆる生活シーンを想定して、利用者の要望や潜在ニーズに即したサービスを実現することの大切さを実感しました。
「デジタル健康・医療・介護の推進」

- 大阪ヘルスケアパビリオン
- いのち動的平衡館
- パソナ館
などを視察いたしました。「大阪ヘルスケアパビリオン」では、未来の健康測定体験装置である「カラダ測定ポッド」で簡易に測定された身体データや問診、脳トレクイズの結果などをもとに25年後の自分の姿(アバター)を作成。展示されている未来のヘルスケアや都市生活の疑似体験を実施した回数に応じて自らのアバターが若返るという「リボーン体験」を通して、ヘルスケアに関する知識の習得や日頃から健康を意識した生活を送ることの重要性を体験することができました。
健康を維持するためには、日頃から体重・血圧などの健康データを継続的に測定・記録し、自身の身体の変化に気づくことが重要です。今回体験した展示のように日々の健康データを手軽に測定・記録できる仕組みづくりや、効果の可視化など楽しく続ける仕掛けは、日常生活の中で健康意識を高めることにつながりますので、「住めば健康になるまち」の実現において欠かせない要素であると感じました。
「公共交通のスマート化」

- 未来の都市
- ロボットモビリティステーション
などを視察いたしました。「未来の都市」では、日立製作所とKDDIの共同展示であるMirai Theaterにて、来場者がスマートフォンを用いて自らが複数ある「未来のシナリオ」を選択し、その結果、未来の都市がどのように変わるのかをゲーム感覚で体験できました。
本プロジェクトで取り組む公共交通のスマート化の中で、特に交通渋滞の緩和や路線バスの維持に対しては、道路整備や公共交通の最適運行だけではなく、移動者一人ひとりの意識変化によって積極的に時差通勤や公共交通機関を利用していくことも重要です。
データに基づいたシミュレーションによって、自らの行動が未来にどのような影響を及ぼすのかを体験してもらうことは、そういった市民一人ひとりの行動を後押しすることにつながると考えておりますので、選択した未来を自ら体験することができる本展示のコンセプトは非常に参考になりました。
「市民参加型社会の推進」

- Dialogue Theater-いのちのあかし-
- ウーマンズパビリオン
などを視察いたしました。「Dialogue Theater-いのちのあかし-」は、参加者の代表とスタッフの対話の場に同席することを通して、対話テーマに対する自分の考えを振り返るという体験型の展示でした。
本プロジェクトでは、「未来はいつもみんなの想いからはじまる」をキーメッセージとして掲げ、市民一人ひとりが積極的に意見を発信し、行動していく市民参加型社会の実現をめざしています。本展示のように対話を通して他者の考えを知り、自らの考えを深めていくような双方向的なコミュニケーションが、市民参加型社会の実現において非常に有効であることを改めて感じました。
「全体調整」

- パナソニックグループパビリオン「ノモの国」
- ハンガリー館
- オマーン館
などを視察いたしました。
いずれの展示も、これからの社会をつくっていくために、一人ひとりが力を合わせる重要性が要素として含まれており、世界的に共創、協調の機運が高まっていることを改めて感じることができました。
また、そのためには仲間とともにめざすべき方向性を共有すること、そして自分自身が立ち返れる場所、源泉とも言える部分を見つめなおすことの大切さも強く示されていたように思います。例えば「オマーン館」ではオマーンが水資源確保(灌漑政策)の世界的な起源で、国民にとっての誇りになっていることなど、国として大切にしたい価値観が明確に示されていました。
そういった人の心や誇りの源泉は、まさに本プロジェクトで言うところの「ひたちらしさ」であり、今後取組が具体化し、複雑な課題に直面していく中で、皆で大切にしたい要素であると強く感じました。
さいごに
万博視察全体を通して、周りの来場者の皆さまが高い関心をもち、ワクワクしながら観覧されていたことが非常に印象的でした。映像や音響、体験コーナーなどを通して最新の技術や抽象的なコンセプトを誰にとっても分かりやすく伝える工夫がされており、視察者としてだけではなく、個人としても共感できる瞬間が多くありました。
まちづくりと言うと「新技術をどう使うか」「何かすごいことをしなければいけないのではないか」とつい感じてしまうことがあります。本プロジェクトも万博に倣い、まず自分個人が一人称でワクワクできるような工夫を通して、皆さまにも共感いただけるような取組にしたいと改めて感じました。
本プロジェクトでは皆さまのご意見を広く募集しております。画面右下のアイコンからどなたでも回答いただけますので、ぜひ皆さまのワクワクするアイデアを聞かせてください。