日立駅10周年記念インタビュー「What does Sejima think?」妹島和代さん
世界をかける建築家
日立市出身の建築家であり、「ふるさと日立大使」でもある妹島和世さん。2010(平成22)年には、建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を受賞し、2012(平成24)年にはフランスの「ルーヴル・ランス」(ルーヴル美術館の別館)を手掛け、名実ともに世界の一流建築家の仲間入りをしている。
その妹島さんがデザイン監修を手掛けたJR日立駅が、今年で10周年を迎える。
今、この場所は、「海の見える駅」として、テレビをはじめ、マスコミに取り上げられることが増え、日立市屈指の人気スポットとなっている。
幼少期と日立駅の思い出
高校卒業まで日立市で暮らした妹島さん。父は、日立製作所の技術者で、幼少期をその社宅で過ごした。
その後の高校時代、妹島さんは、毎朝日立駅を利用し通学していたという。
当時の日立駅は、今と同じ平屋だったが、「市内のいたるところから見える太平洋が、日立駅からは全く見えない。通学のためにある朝プラットホームにいた時、潮の香りがするから海がすぐ近くにあるんだと気がついた。それから、電車が走り出すまで日立の自慢の海が見えないことを、いつも残念に思っていた。」という。
日立駅のデザイン監修
2006(平成18)年、妹島さんは生まれ育った日立市でその思いを実現するチャンスを得た。日立駅のデザイン監修者に選出されたのだ。
しかし、すでに都市計画決定がなされていて、「自由通路をどの位置に通すかについての選択肢がほとんどない中でのデザイン構築を迫られた。加えて、コンペの要項に「ひたちらしさを表現すること」とあり、形にするのは非常に難しかった。」と妹島さんは、語る。
新生日立駅へ
妹島さんの建築に対する基本的な考えは、「軽さ・透明性の追求によって、ウチとソトとの概念を取り払うこと。それは、ガラスを用いた単純な透明性の追求だけではなく、半透明の重なりによって、透明にも立体感をもたせること。映り込みを活用し、多角的な視点を持たせること。」である。
そして「どこまでも際限なく広がる日立の海と空と人々の生活を繋ぐ空間、人の心を豊かに、楽しめる空間としての駅をつくる。」という思いが、2011(平成23)年4月、カタチになった。
東日本大震災に見舞われた中、新生日立駅が復興への希望とともに誕生した。
海と空に浮かぶ日立駅
日立駅からはどこからでも海が見える。空が広がる。建築なのに軽やかで、そこにあるようなないような。それがセジマケンチク。
日立駅は、建物そのものが存在感を持っているのに、まるで以前からその風景の一部であったかのように溶け込み、いざそこに立てば、海や空と融合し、時間や天気によって新しい景色を生み出す。
日立駅が生み出す美しい景色は、妹島さんの「建築によってウチとソトを繋げたい」という思いそのものだ。
人と駅と日立のまちが、繋がり、広がって、様々な関係が生まれる。日立駅は、妹島さんの考える「ひたちらしさ」の一つの答えである。
私たちは、日立駅を訪れるたび、その自由で奥の深い空間とそこに生まれる美しい光景に出会うことができる。
あなたも日立駅を訪れ、この美しい駅舎に秘められた妹島和世さんの思いに触れてみてはいかがでしょうか?
妹島和世
1956年日立市生まれ。
1981年日本女子大学大学院修了。
1987年妹島和世建築設計事務所設立。
1995年西沢立衛さんとともに、設計事務所「SANAA」を設立。
現在、ミラノ工科大学や横浜国立大学大学院などで、教授としても活躍。
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