能登半島地震に思う

ページID1011300  更新日 令和6年2月25日

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新年あけましておめでとうございます。と言っても、すでに月半ば、ちょっと間の抜けた挨拶ですね。また、今年は年が明けた矢先に能登半島での巨大地震のニュースが飛び込み、日本中のおとそ気分も吹き飛んだのではないでしょうか。最大震度7でいまだに震度5クラスの余震も続き、加えて津波や輪島市での大規模火災など現時点で200名を超える死亡者やその他の安否確認のとれない行方不明者、そして2万人を超える方たちが避難生活を余儀なくされてる現状に、心が痛みます。テレビのニュース映像などを見ると、ビルや家屋の倒壊、道路や電柱など社会インフラの損壊など市街地は惨憺たる状況で復興復旧の先行きすら読めないような光景に愕然とさせられます。また、北陸地方だけに降雪や寒さといった対策も必要とされます。避難される方のご苦労はいくばくかと察せられます。

 そして、私たち同業者としては更に悲しい報せが入ってきました。被災地にある「のとじま水族館」で飼育していたジンベエザメ2頭が相次いで亡くなりました。水位・水温低下やろ過・循環装置が作動できなかったことが大きいようですが、地震の影響で漏水や電源消失が災いしたものと推察されます。実は、日本動物園水族館協会として、発災直後から被災した園館を救うため動物の緊急避難先を探しており、カマイルカやアザラシなどの引受先は決まり、現在もその他のウミガメなどの動物の移動先を調整しているところだったのですが、体長が5mにもなり大規模水槽で飼育するジンベエザメクラスになるとさすがに容易に搬出搬入が叶うのは困難です。先日、たまたま他の動物園の園長と仕事がらみで電話で話していた時にこの話題が出て、その園長も停電が続けばジンベエザメも厳しいだろうと話していたばかりでした。水族館職員の心痛は計り知れません。

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《ジンベエザメ》

 思えば当園も、もう13年前になる東日本大震災では一部被災しましたが、かろうじて動物への影響などは避けることができました。3月のことでしたので、今の気温とは違いますが、それでも夜は相当冷え込み、電気も止まっていたので暖房が使えず、ストーブをかき集め、必要な獣舎で暖をとったのが思い起こされます。また、物流がストップし多くの園館から動物餌をはじめとする支援物資もたくさん届けられました。かように、動物園や水族館は自然災害で大きな影響を受けるのは施設だけでなく、むしろ動物たちといっても過言ではありません。命を預かる以上、動物たちにいかに災害を乗り越えてもらうかといったことに腐心します。そして国内の動物園水族館が協力して被災園館を支援する体制も採られます。なかなか魚類など水族館の生き物を動物園で預かるのは施設的な面や移動手段などで難しい面もあり、前述したように今回は近隣の園館などが動物受入れを表明しているようですが、災害時の協力体制は、支援を受けたことがある当園としては、とてもありがたく感じているところです。「のとじま水族館」の職員も心身ともに大変な状況かと思われますが、こうした支援をてこに少しずつでも復興への道のりを歩んで頂ければと思います。

 そして私たちも、地震大国、という言葉は使いたくありませんが、日本列島で生活する限りこの先いつどこで発生してもおかしくないような地震から避けて通ることができません。災害に備えた体制づくりの重要性を改めて感じているところです。

 新年早々あまりおめでたい話になりませんでしたが、被災地の復興復旧を祈りつつ、今年もよろしくお願いいたします。

※当園でも、のとじま水族館を支援するため公益社団法人日本動物園水族館協会を通しての募金活動を行います。ご協力いただける方は、入園口に募金箱を設置してますので、よろしくお願いいたします。

※写真のジンベエザメはフリー素材で、のとじま水族館の個体ではありません。

(園長 生江信孝)

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